不動産

不動産査定はどのような流れですすむ?知っておくべきポイント

不動産査定はどのような流れですすむ?知っておくべきポイント

不動産を売却したいと思ったら、まずしなければならないのはその不動産の査定です。この査定により、不動産の売却価格が決まります。

ではこの不動産の査定は、どのような種類がありどのような方法で行われるのでしょうか。

ここでは、査定の際にチェックされるポイントや査定の流れ、自分でもできる査定の方法などについて解説していきます。

不動産査定とは

不動産査定とは、その不動産の売却価格を不動産会社などに予測してもらうことです。

査定には、後述するいくつかのチェックポイントがあり、それらをもとに不動産の価値を総合的な見地から評価して査定額を算出します。

しかし、この査定額はあくまで「このぐらいの金額で売却するのが妥当だろう」という不動産会社側の意見なので、査定を行う不動産会社が変われば査定額も変わるケースが多くあります。

そのため、不動産の査定は複数の不動産会社に依頼し、その中から高いまたは妥当と思われる査定額をつけた不動産会社に、売却や仲介を依頼することをおすすめします。

ただし、査定額がそのまま売却価格になるとは限りません。

不動産の売買には価格交渉が付きものなので、査定によって導かれた売却希望金額よりも低い金額で売却することになる可能性もあります。

不動産査定の種類

不動産査定には、机上査定と訪問査定の2つの種類があります。

ここでは、この2つの査定方法について解説していきます。

(1)机上査定

机上査定とは実際に物件を訪問せずに、過去に似た物件がいくらで売れたかといったことや査定時の市場状況などから、不動産の査定額を算出する方法を言います。

机上査定を行う場合には、売却を検討している不動産の大まかな情報を不動産会社に伝えると、メールで大まかな査定額が返送されてきます。

不動産会社によっては、詳細に査定した結果を文書にまとめた査定書が送付されてくることもあり、その査定書によって数か月以内に売買する場合の想定価格を知ることができるケースもあります。

近年では「不動産一括査定サイト」が増加していますが、このようなサイトで行われる査定は、この机上査定です。

机上査定で産出される査定額は、売り出し価格を決める際の参考にできます。

(2)訪問査定

訪問査定とは、売却を希望している不動産に不動産会社の担当者が直接訪問し、不動産を隅から隅までチェックして査定額を算出するという方法です。机上査定よりもさらに現実的な査定額を算出してもらうことができる方法です。

訪問査定は、別名実査定とも呼ばれます。

訪問査定は、実際に売却を希望している不動産を見て査定額を算出するため、机上査定よりさらに正確な査定を行うことができます。

また不動産の調査票も、机上査定の場合よりさらに詳細なものを手に入れることが可能です。

不動産査定のチェックポイント

ここでは不動産査定のうち、訪問査定を受ける際に不動産会社がチェックするポイントについて解説していきます。

(1)間取り

部屋の間取りは、単純に広ければ高い査定額が出るというものではありません。

現代のライフスタイルに合った間取りであるか、キッチンや水回りの同線が使いやすいものになっているかなどといった点が査定の対象になります。

現代のライフスタイルでは、リビングを中心とした間取りの不動産が人気であるため、リビングがないダイニングキッチンのみの不動産の場合には、査定額が低くなってしまうことが予想されます。

(2)築年数

不動産の築年数も、査定価格に関わる重要なチェックポイントです。当然のことながら、築年数が古い不動産であるほどその価値は下がっていきます。

不動産の建物の部分には、建物の種類によって法定耐用年数が定められていて、その法定耐用年数は居住用の木造建築の不動産は22年、鉄筋コンクリート造の場合は47年となっています。

居住用の建物の場合には、築20年を超えた不動産の査定価格はゼロになってしまうことも珍しくありません。

また木造の不動産の場合は、築15年以上経過するとその査定額が急激に下がることも覚えておきましょう。

(3)土地の広さ

土地は、基本的に広ければ広いほど高い査定額が付きます。

しかし、それは土地が使いやすい形をしている場合のことで、旗竿地など道路に面している面積が狭い土地の場合には、広い土地であっても査定額が低くなることが一般的です。

(4)立地

スーパーや病院、学校などが近くまたは徒歩圏内にあり、生活を営むうえで利便性が高いと判断された場合には、高額の査定額が出る可能性が高くなります。

一般的にはこれらの施設から、徒歩10分以内の場所であれば評価は高くなります。

また、中心街に出るためのバスなどの公共交通機関の利用のしやすさも、査定額に大きな影響を与えます。

(5)土地の形状

土地の形状は、正方形など利用しやすい形に整った土地であるほど高い査定額が出ます。

逆に形がいびつだったり、その土地に建物を建てる際に使うことができない部分があったりする場合には、査定額が下がってしまいます。

(6)日当たり

不動産を特に居住用として購入する人のほとんどは、日当たりのよい物件を好みます。

そのため査定を受ける物件が、日当たりのよい場所である場合には、高い査定額が出やすくなります。南向きや、それに次いで南東向きの不動産の評価が高くなります。

逆に強い西日が当たる西向きの不動産や、日当たりが望めない北向きの物件、高層マンションなどの高い建物に日差しが遮られて日光が届かない物件などは、あまり高い査定額を望むことはできないでしょう。

(7)眺望や景観

窓を開けたらすぐ隣家の壁が見えるというような物件よりも、少し高台にあるなどの理由で窓からの眺望が開けている物件は、査定時にプラスの評価を受けやすくなります。

訪問不動産査定の流れ

ここでは、訪問不動産査定の流れについて解説していきます。

(1)査定に必要な書類を準備する

訪問査定を受ける際には、必要書類を準備しておく必要があります。

必要書類には、登記済権利書、固定資産税納税通知書、登記事項証明書、間取り図、建築確認書、マンションの場合には管理規約・長期修繕計画表を準備しておくようにしましょう。

(2)インターネットの一括査定サイトで複数の不動産会社に査定を依頼する

インターネットの一括査定サイトで、売却を希望する不動産の一括査定を行います。

この一括査定は机上査定で行われるものであるため、訪問査定の際に出る査定価格とは違いが出ることもありますが、この一括査定により大まかな査定額を知っておくことで、売却したい不動産のおおよその売却金額を想定しておくことが可能になります。

(3)一括査定の内容から数社の不動産会社をピックアップし訪問査定を依頼する

一括査定の結果、高額の査定額をつけてくれた不動産会社や、詳細な報告書を貼付してくれた不動産会社など、良い条件で不動産を売却したり仲介したりしてもらうことができそうな不動産会社を数社ピックアップし、訪問調査を依頼します。

訪問調査では不動産の細かい部分までチェックされますが、それでも不動産会社ごとに査定額は異なるため、必ず複数の不動産会社に訪問査定を依頼するようにしましょう。

(4)査定結果を聞く

いよいよ不動産会社から査定額を聞くことになりますが、この時に「なぜその査定額になったのか」という根拠をしっかりと不動産会社側に説明してもらうようにしましょう。

不動産会社の中には高額な査定額をつけながらも、実際に売買する段階になって大幅な値下げを提案してくる不動産会社もあるためです。

このように、相場から大きく外れた査定金額を提示してくる不動産会社も多いため、査定金額を聞くときには、なぜその金額になったかという根拠をしっかりと説明してもらうようにしましょう。

査定額の決め方

ここでは、不動産の種類ごとの査定額の決め方について解説していきます。

(1)マンションや土地の場合

マンションや土地を査定する場合には、「取引事例比較法」という査定方法を用いて査定を行います。

この取引事例比較法とは、近隣の似たような条件の物件の成約事例を探し出して相場を参考にし、査定を行う方法です。

土地やマンションの広さや規模などが同じでも、立地条件や売買された時期の市場の動向には違いがあるため、これらの条件を加味して実際のマンションや土地の査定を行います。

(2)戸建ての場合

一戸建ての場合には、「原価法」を用いて査定を行います。

原価法とは、査定を行う不動産を取り壊したと仮定し、同じ不動産を再建築した場合にかかる費用を計算し、そこから築年数に応じて減価修正を行うことによって査定額を求める方法です。

(3)収益物件の場合

収益物件の場合には、「収益還元法」で査定を行います。

収益還元法とは、その不動産から将来得ることができると予想される純利益と現在の価格の総和を求めて査定額を出します。

この方法は、主に賃貸物件を査定する際に使用されます。

不動産査定に資格は必要?

不動産の査定を行うためには、特別な資格は必要ありません。

不動産会社の運営を行うためには、宅地建物取引士の国家資格を持っている人が一定の人数以上その不動産会社に所属する必要があります。ただし実際に査定を行うのは、この宅地建物取引士などの有資格者である必要はないのです。

自分でできる不動産の簡易査定方法

ここでは、自分でできる簡単な不動産の査定方法について解説していきます。

(1)課税証明書から調べる

自分でできる一番簡単な不動産の査定方法は、課税明細書に記載されている固定資産税評価額から査定を行う方法です。

固定資産税評価額は実勢価格(実際の売買価格)の約70%程度であることがほとんどなので、固定資産税評価額を70%で割ることで、おおよその売却価格を知ることができます。

(2)路線価から調べる

この方法では、土地の査定のみを行うことができます。

路線価とは、国税庁が土地にまつわる税金の納税額を決める際に使用するもののことをいい、日本全国の土地の評価額を国税庁の路線価図・評価倍率表を用いて調べることが可能です。

この路線価図または評価倍率表を利用して求めた路線価に、土地の面積をかけることで土地の評価額を調べることができます。

まとめ

ここまで、不動産の査定について解説してきました。

不動産の査定には2つの種類があること、訪問査定の流れやその際のチェックポイント、自分で査定を行う方法などについてお分かりいただけたと思います。

査定は、不動産を売却する際に一番初めに行う手続きです。

不当な査定額を提示されないように、自分でも査定や査定額の算出方法について勉強しておき、適切な査定額を提示してくれる不動産業者を見つけて不動産の売却や仲介を依頼するようにしましょう。

※記事中の法律や税率などについては、2022年4月時点のものです。

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