不動産

家の解体費用の相場はどれくらい?4つのポイントを知って安く抑える

家の解体費用の相場はどれくらい?4つのポイントを知って安く抑える

土地と建物を売却しようと思った際に建物が古いと、「古家付き」という条件になりその土地と建物がその地域の相場より安い価格でしか売却できないことがあります。
その理由は、土地と建物を売却しても使い物にならない建物が付いていると、その建物の解体工事を行う必要があり、購入して新たに家を建てる際に古い建物の解体費用が必要になるためです。
このような理由から、土地と建物を売却する場合には古い建物を解体してから売却したほうがより高額で売却できる可能性が高くなります。
しかし、その解体工事にはどの程度の費用が必要になるのでしょうか。

ここでは、建物の解体費用の相場や建物を解体する流れなどについて解説していきます。

一戸建ての解体費用の相場

建物の解体作業の費用の相場は、その建物の構造により異なります。
建物の構造が木造の場合は一坪当たり3万円から4万円、鉄骨造の場合は一坪当たり5万円から6万円、RC造の場合には一坪当たり7万円から8万円程度が解体費用の相場となります。

このように、解体しやすい構造の建物は解体に手間がかからないため、解体費用の相場が低くなります。
住宅の場合は木造建築が多いため、30坪の建物を例にとるとその解体費用はおおよそ90万円から120万円程度になると予想されます。

ただし、この相場は解体する建物の立地などによって大きく異なるため、この解体費用の相場はあくまで目安とするようにしましょう。

一戸建てを解体する際の流れ

一戸建てを解体する場合には、次のような流れで解体作業を行います。

(1)見積もりを取る

まずは解体作業を依頼する解体業者を選定するために、見積もりを取ります。

①解体業者をピックアップする

解体作業を依頼する業者を選定します。
見積もり依頼はメールや電話で行うことができ、解体業者探しも「解体業者 ○○(地方名)」などのキーワードで検索できるため、いくつかの業者を探して解体したい建物の情報を伝え、見積もりを依頼します。

②解体業者に現場の調査をしてもらう

見積もりを行うためには、実際に解体業者に解体を依頼する建物を見てもらう必要があります。
これを現場調査といいます。

現場調査では、建物の外側だけではなく内部の状況も確認する必要があるため、依頼主が立ち会う必要があります。
この調査では建物を解体するにあたってショベルカーなどの重機が必要になるのか、また必要になった場合に重機を建物がある場所まで搬入することができるかという点についてもチェックを行います。

③解体費用の見積額を提示してもらう

現場調査が終わった時点では、まだおおよその見積額しか聞くことができません。

きちんとした解体業者であれば、後日文書で解体費用の見積もりが送付されてきます。
このようにしていくつかの解体業者から見積もりをとり、一番納得がいく価格を提示した解体業者に建物の解体を依頼するようにしましょう。

(2)解体前の準備

解体工事を始める前に、以下のような準備が必要になります。

①近隣への挨拶

解体工事を行う際には、重機を使用することがほとんどで近隣住民に工事音で迷惑をかける可能性が高いため、近隣の方に解体作業を始める前に挨拶をしておくようにしましょう。
平日の昼間は留守にしているお宅には、解体工事を行う期間を明記した手紙をポストなどに入れておくとよいでしょう。

このような挨拶は基本的に解体業者が行ってくれますが、施主からの挨拶も合わせて行うことで印象が良くなります。

②解体の準備を行う

解体工事を行う前に、電気・ガス・水道を停止し引き込み線の撤去などを行う必要があります。

これらの作業も解体業者が行うのが一般的ですが、施主にしかできない作業もあるため見積もりの段階でどの程度まで解体業者に依頼できるのかを確認しておきましょう。

(3)解体工事

解体工事の準備が終了したら、いよいよ解体工事の開始です。
解体工事は、以下の流れで行われます。

①足場を組み養生シートを施工する

まず足場を組み、養生シートを施工します。
養生シートとは、解体工事を行う際に出る粉塵が舞ったり騒音を防いだりするためのシートのことを言います。
養生シートを使用すると当然のことながら費用は高くなりますが、粉塵や騒音で近隣に迷惑をかけないように必ず使用するようにしましょう。

②建物内部の解体

建物の解体を行う際には、建物の内部から解体を始めます。
建物の内部の解体とは、ドアなどの建具や断熱材、住宅設備機器、造作器具などを解体することを言います。

このように建物の内部にはさまざまな設備があるため、解体して出たごみを分別しながら作業を進めていきます。

③構造体の解体

建物の内部の解体が終了したら、建物の骨組みとなる屋根や柱などの構造体の解体作業に移ります。
この作業では、重機が使用されるのが一般的です。
そのため、近隣住民に迷惑をかけないよう配慮をしながら作業を進めていく必要があります。
建物全体の解体作業が終了したら、基礎部分を掘り起こし完全に更地にして解体作業が終了します。

(4)事後処理

解体工事の終了後には、事後処理が必要になります。
ここでは、事後処理の流れを解説していきます。

①廃材を分別し搬出する

建物を解体すると、木材・コンクリート・ガラス・金属などさまざまな素材の廃材が出ます。
これらを分別してトラックに乗せ、搬出します。

②整地を行う

廃材の搬出後、土地の整地処理を行います。
土地に傾斜がある場合には、整地をする際に水平にしてもらうこともできますが、これには追加費用が掛かります。

解体費用の内訳は?

ここでは、解体費用の内訳について解説していきます。

(1)解体費用の基本

解体の基本となる料金には、解体を行う人件費、重機リース料、養生費、廃棄物処分費の4つが含まれています。
これが解体費用の基本の料金となります。

(2)地域ごとに解体費用は異なる?

解体費用の相場は、地域によっても異なります。
一般的に都市部では高く、地方では低くなる傾向があります。
これは、都市部のほうが重機のリース料や人件費が高額になることが原因です。
また、都市部のほうが隣家との距離が近いため解体作業の効率が低くなり、解体にかかる日数が長くなること多いという理由もあります。

解体費用を低く抑えるためにしておくべきこととは

解体費用をできるだけ低く抑えるために、自分でできることがあります。
ここでは、解体費用を低く抑えることができる方法について解説していきます。

(1)自治体などの補助金制度を利用する

自治体によりますが、建物の解体を行う際に補助金や助成金を支給しているところもあります。
これには近年、空き家問題などで老朽化した建物が景観を損ねたり、事故の原因となったりすることもあるため、このような事態を防ぐ目的で支給されます。

補助金や助成金の支給を受けるためには、自治体が定める条件を満たしている必要があるケースがほとんどです。

(2)複数の業者から見積もりをとる

解体工事を行う前に見積もりを取ることが一般的ですが、この時に複数の業者に見積もりを依頼して一番納得がいく金額を提示してくれた解体業者に工事を依頼することで、費用を低く抑えることができます。

(3)室内の家具などの処分はなるべく自分で行う

室内に家財などが残っていると、それらを撤去するのに時間も人手もかかり結果として解体費用が高くなってしまいます。
そのため、自分で処分できる家具などは自分で処分しておくようにしましょう。

(4)庭の不用品や木・雑草などは整理しておく

庭においてある不用品や木・雑草などの撤去にも、家具の処分と同様に人手と時間がかかります。
これらのものも、自分でできる範囲で処分しておくとよいでしょう。

家を解体することで得られるメリットとデメリット

家を解体することには、メリットとデメリットがあります。
ここでは、そのメリットとデメリットについて解説していきます。

(1)メリット

家を解体することで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

①売りやすくなる

古い建物が建った状態の土地は、購入者が建物を解体する必要があるためよほど立地が良くない場合には買い手が付きづらい傾向があります。
建物を解体し更地にしておくことで、土地を売りやすくなります。

②契約不適合責任を問われる可能性が下がる

建物を売却する際には、売り主側が「契約不適合責任」を負います。
契約不適合責任とは、売買の成立度に買い手側が知らされていなかった問題が発生した際に売り手側が責任を持つという決まりのことを言います。

建物を解体して更地にしてから売却する場合には、建物自体が存在しないため契約不適合責任を問われる可能性が低くなります。

(2)デメリット

家を解体することで得られるデメリットには、以下のようなものがあります。

①固定資産税が高くなる

建物を解体すると、固定資産税の住宅用特例が適用されなくなるため固定資産税が高額になります。
固定資産税の上昇幅は、最高で6倍程度と考えておくとよいでしょう。

②中古住宅の購入を検討している層が売却のターゲットから外れる

建物を解体してしまうと、中古住宅の購入を検討している層が売却のターゲットから外れてしまいます。

建物を解体する前に、その建物が本当に居住に耐えられないものであるかどうかを今一度良く考えてみることをおすすめします。

家を解体する際の注意点

家を解体する際には、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、その注意点について解説していきます。

(1)再建築ができないケースもある

建物が建っている土地が、再建築不可の土地ではないことを確認しておきましょう。
再建築を行うためには、4m以上の幅員を持つ道路に2m以上接していないといけないという決まりがあるため、この条件を満たしていない土地に建っている建物を解体してしまうと、新しい建物を建てることができなくなってしまいます。

(2)解体しないほうが売りやすいケースもある

建物が比較的新しい場合には、そのまま古家付き土地として売却したほうが高い価格で売ることができる可能性があります。
この方法を用いることで、中古住宅を探している層もターゲットにすることが可能になります。

(3)解体後には必ず建物滅失登記を行う必要がある

建物を解体した後には、必ず建物滅失登記を行う必要があります。
これを怠ると新しい建物を建てることができなかったり、解体した建物に固定資産税がかかり続けたりするため、忘れずに行うようにしましょう。

まとめ

ここまで、解体費用の相場や作業の流れ、解体を行った際のメリットとデメリットや注意点について解説してきました。

建物を解体する際に発生する費用やそれを低く抑えるための方法、解体しないほうが良いケースもあることがお分かりいただけたと思います。
建物の解体を希望している場合には、解体業者に見積もりを依頼する前に不動産業者などに古家付き土地として販売する場合と更地にして売る場合のどちらがメリットが大きいかを確認し、更地のほうがメリットが大きいと判断した場合に解体工事を行うようにしましょう。

※記事中の法律や税率などについては、2022年5月時点のものです。

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