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仏壇の処分方法|正しい方法と注意点・費用など解説

仏壇の処分方法|正しい方法と注意点・費用など解説

自宅に仏壇がある方の中には、人生の中で何度もあることではないと思いますが、仏壇の処分を行う必要が出てくることもあるかもしれません。

しかしご先祖様をお祀りしてある仏壇なので、単純に粗大ごみとして処分することに抵抗を覚える方がほとんどだと思います。
そのため、仏壇を処分するためには一般的な粗大ごみとは異なる手順を踏んだり、仏壇処分専門の業者に処分を依頼したりする必要があります。

ここでは、仏壇の処分方法について解説していきます。

仏壇の処分が必要になるケース

仏壇の処分が必要になるケースには、以下のようなものがあります。

(1)継承者がいない

仏壇は、一般的に長男が継承するものとされています。
そのため、男の子がいない女の子だけの家の場合には仏壇を継承する人がいない状態になります。

また少子高齢化が進み、子どものいないご家庭も増えてきました。
子どもがいないと、当然のことながら継承する人もいないという状態になります。

このように継承者がいないという理由から、仏壇を処分する必要があるケースもあります。

(2)引っ越しや家族が増えたことにより仏壇を置くスペースがなくなる

引っ越しや家族が増えたことにより、古い仏壇を処分することもあります。

引っ越しによる仏壇の処分で一番多いケースは、仏壇を持っている人が介護施設などに入所する際に仏壇が大きすぎて介護施設内に持ち込むことができず、コンパクトなサイズの仏壇に買い替えたため、古い仏壇の処分が必要になるというものです。

また、二世帯同居を始めるなどの理由で家族が増えたために、仏間を居室として使用せざるを得なくなることも考えられます。

このような場合にも、小型の仏壇に買い替えることが多く、古い仏壇の処分が必要になります。

(3)古い仏壇を新しいものに買い替えた

先祖代々使ってきた仏壇の痛みが激しくなった場合、補修して使用することも多いのですが、古い仏壇を補修して使うより新しい仏壇を購入したほうが安上がりな場合もあります。

このような場合に、仏壇を買い替えたために古い仏壇を処分する必要が出てくることもあります。

古い仏壇を処分する前にしておくこと

古い仏壇は、ただ単にごみとして捨ててはいけません。
正しい過程を経て処分する必要があるのですが、処分する前にやっておくべきことがあります。

ここでは、古い仏壇を処分する前にしておかなくてはいけないことについて解説していきます。

(1)閉眼供養・魂抜き・お性根抜き・御霊抜き

古い仏壇を処分する前に、仏壇からご先祖の魂を抜く儀式を行う必要があり、この儀式は宗派によって閉眼供養・魂抜き・お性根抜き・御霊抜きなど異なる名前で呼ばれます。

新しく購入した仏壇には、魂を入れる儀式を行います。
仏壇が一般的な家具と異なる点は、この「魂が入っている」という点なので、粗末に扱ってはいけないとされています。

そのため、古い仏壇の処分を行う際には必ず魂を抜く儀式を行う必要があるのです。

(2)仏壇の引き出しの中などに重要なものが入っていないかチェックする

仏壇には引き出しがあるものも多く、またその引き出しを使うことはめったにありません。
そのため、昔家族の誰かが引き出しの中に何かをしまっていた可能性もあります。

それが遺言状などの重要なものであれば、気付かずに仏壇と一緒に処分してしまうと後でトラブルになる可能性もあるため、古い仏壇を処分する前には必ず引き出しの中をチェックするようにしましょう。

(3)古い仏壇処分方法は宗派により違いがあることもある

古い仏壇を処分する方法は、宗派や菩提寺によって異なるケースがあります。
そのため、仏壇の処分方法を菩提寺に確認しておくとよいでしょう。

古い仏壇の廃棄や引き取りの依頼先

古い仏壇を引き取りや廃棄を依頼できるところは、4つあります。

ここでは、その4つの引き取り先とメリット・デメリット、費用について解説していきます。

(1)菩提寺

古い仏壇の一番一般的な方法として、菩提寺に引き取ってもらうというものがあります。

①メリット

日ごろから法要などでお付き合いがあるため、古い仏壇の処分や供養についても相談しやすく、安心して古い仏壇の処分を依頼することができます。
仏壇の閉眼供養などの儀式から運搬、処分まで一括で行ってくれるお寺も多いため、複数の業者にさまざまな作業を依頼する手間を省くことができるという点もメリットのひとつです。

また、同時に新しい仏壇にするためや後述する仏壇じまいなど、仏壇だけではなく供養全般の事柄についても相談することができます。

②デメリット

日ごろから法要などの時にきちんとしたお付き合いをしていない場合、相談しづらいというデメリットがあります。
また、費用についても明確にしているところが少ないため、どれぐらいの費用が掛かるのかわからないケースもあります。

③費用

菩提寺に古い仏壇の処分を行ってもらう際に必要な費用は、「お気持ちで」といわれることがほとんどです。
そのため費用の相場には、10,000円程度から100,000程度と大きく開きがあります。

檀家同士の横のつながりがあり、その中に古い仏壇の処分を依頼したことがある人がいれば、お布施としていくら包んだかを聞いて参考にすることをおすすめします。

(2)仏壇処分の専門業者

菩提寺との密な付き合いがなかったり、宗派を離れるために仏壇を処分したりする場合には、仏壇処分の専門業者に古い仏壇の処分を依頼するという方法もあります。

①メリット

仏壇処分の専門業者に古い仏壇の処分を依頼するメリットには、魂抜きなどの儀式から処分に至るまでの作業をワンストップで行うことができるという点です。

また、事前に古い仏壇の処分に必要な費用の見積もりを出してくれるため、いくら費用がかかるかが明確にわかるという点も、大きなメリットのひとつであると言えます。

②デメリット

仏壇処分の処分業者の中には一般廃棄物処理業許可証など、古い仏壇などを適切に処分するために必要な許可を受けていない業者も存在します。

このような業者に古い仏壇の処分を依頼してしまうと、仏壇を不法投棄されてしまう恐れがあるため、依頼する業者が古い仏壇を処分するために必要な許可を自治体などから受けているかどうかを確認しておく必要があります。

③費用

仏壇処分の専門業者に仏壇の回収を依頼した場合の費用は、5,000円から10,000円程度が相場となります。
供養も合わせて仏壇処分の専門業者に依頼する場合には、20,000円程度の費用が必要になります。

(3)仏壇仏具店

仏壇仏具店の中には、仏壇の処分を依頼することができる業者も存在します。

①メリット

仏壇仏具店で古い仏壇を処分してもらう場合にも、処分にかかる費用を明確に提示してもらうことができるというメリットがあります。

菩提寺で仏壇を処分してもらう方法よりは安い金額で古い仏壇の処分を依頼することができ、またある程度きちんとした方法で古い仏壇の処分を行ってもらうことができるため、費用を節約したい方にはおすすめの方法です。

また、仏壇を買い替える場合にはさらに安い費用で古い仏壇の処分を依頼することができるケースもあります。

②デメリット

仏壇仏具店に古い仏壇を処分してもらう場合には、合同供養としてお焚き上げを行うのが一般的です。

そのため、丁寧に古い仏壇を処分してもらいたい場合には、やはり菩提寺に依頼することをおすすめします。

③費用

仏壇仏具店に古い仏壇の処分を依頼した場合かかる費用は、20,000円から80,000円程度となります。

(4)自治体

自治体によっては、粗大ごみとして古い仏壇を処分することができるところもあります。

①メリット

粗大ごみとして古い仏壇を処分する場合の最大のメリットは、その費用の安さです。
処分費用が自治体の場合には、数百円で古い仏壇を処分することができるケースもあります。

②デメリット

自治体によっては、仏壇を粗大ごみとして処分することができないところもあります。

また、魂抜きなどの供養や指定された場所への運搬なども自分で手配する必要があるため、他の方法に比べて非常に手間がかかります。

さらに運搬などの際に、近隣の住民から奇異な目で見られることもあるでしょう。

③費用

古い仏壇を粗大ごみとして処分する場合の費用の目安は、500円から2,000円程度です。

古い仏壇の処分の流れ

ここでは、古い仏壇の処分の流れについて解説していきます。

(1)閉眼供養などの供養を行う

はじめに閉眼供養などの儀式を行い、古い仏壇からご先祖の魂を抜きます。
こうすることで、一般的な棚などと同じように扱うことができるようになります。

(2)仏壇の採寸

仏壇の縦・横・高さをメジャーで正確に測り、大きさを記録しておきましょう。

(3)引き取り費用の見積もり

古い仏壇の引き取りを依頼する業者などに仏壇の大きさなどの情報を伝え、見積もりを出してもらいます。

(4)梱包

引き取りを依頼する業者を決めたら、引き取り日までに仏壇を梱包しておきます。
本格的な梱包は業者などが行ってくれるため、簡易な梱包で構いません。

(5)引き取り

引き取りの際には、業者などが古い仏壇の運び出しを行ってくれます。

(6)解体

引き取られた仏壇は解体され、高価な素材が使われている場合にはそのような部分のみリサイクルされることもあります。

仏壇の継承者がいない場合は仏壇じまいを

仏壇を買い替えてその後もご先祖をお祀りするのではなく、もう仏壇での供養は行わない場合に行うのが、仏壇じまいです。
主に継承者がいない場合などに行われ、閉眼供養を行った後に仏壇を処分することで仏壇じまいが終了します。

継承者がいないなどの理由で、今後の仏壇での供養やお祀りが難しい場合には、仏壇じまいをしておくことをおすすめします。

まとめ

ここまで、古い仏壇の処分方法やそれぞれの方法のメリット・デメリット、費用などについて解説してきました。

古い仏壇を処分する際に必要な儀式や、処分の流れなどについてもお分かりいただけたと思います。
仏壇はご先祖の魂が入っているものなので、やはり処分をする場合にもきちんとした儀式や流れで行いたいと思う方がほとんどだと思います。

信頼できる処分業者を見つけて、納得がいく形で古い仏壇を処分するようにしましょう。

※記事中の法律や税率などについては、2022年4月時点のものです。

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