不動産を売ることになり最初にすることは「不動産査定」です。知っている不動産屋さんがいない人にとっては、不動産会社を探すだけでも大変な苦労でしょう。
不動産一括査定サイトの「イエウール」は簡単に査定の申込みができ、しかも一度の手続きで複数の会社に査定の依頼ができるサービスです。
この記事では、イエウールを利用したことのある人たちの口コミやレビューから、イエウールの特徴や感想にもとづき、イエウールを上手に活用する方法をご紹介します。
一括査定サイトとは
「一括査定サイト」とは、不動産の査定を不動産会社に依頼するときに活用するインターネットサービスです。
現在10個を超えるウェブサイトがあり、査定をおこなう不動産会社が多数参加・登録しています。大手の仲介会社から地方都市で地域密着の活動をおこなう会社まで自由に選択でき、ほとんどは約6社に対し同時に査定申込みが可能です。
査定を希望する利用者は無料で使え、サイトの運営は登録する不動産会社が費用の負担をしています。
(1)一括査定サイトのメリット・デメリット
不動産を売却する場合に必ず行う「不動産査定」とは、さまざまなデータに基づき「売れると思われる価格」の算定をすることです。
不動産査定は複数の不動産会社に依頼するのが鉄則と言われます。一括査定サイトは一度の手続きで複数の会社に査定の申込みができますが、メリットもありデメリットもあります。
①一括査定サイトのメリット
一度に複数の会社に無料で申込みできるので、手間を省けるのが大きなメリットです。
また申込手続きに必要な情報は、すべてフォームが用意されているので、悩むことなく入力することができます。
査定を依頼する複数の不動産会社には、フォームに入力した内容がそのまま伝わるので、すべての会社が同一の条件で査定を行うため比較検討がしやすいのもメリットです。
また、複数の不動産会社に同時に申込みが入ることを登録している会社は承知しているので、自然と「競争意識」がはたらき、査定価格を可能な範囲で高めに設定する傾向が強く、結果的に高値売却につながる可能性が高くなります。
ここまでのメリットをまとめると次のとおりです。
- 手間がかからない
- 比較検討がしやすい
- 高値売却の可能性が高い
②一括査定サイトのデメリット
直接不動産会社に査定を依頼するのと違い、一括査定サイトには次のようなデメリットがあります。
- 事前に不動産会社から話を聞くこともなく査定を申込むので、質の悪い会社に査定依頼をすることがある
- 連絡先が不動産会社に伝わるため、営業電話がたびたびかかってくる
- 売りづらい物件の場合は返答がない場合もある
不動産の査定を依頼する理由のなかには売却予定のためではなく、将来の参考や資産評価のために査定を依頼するケースもあり、目的によっては参考にならないほどの高い査定価格が提出されることもあります。
(2)一括査定サイトの種類
一括査定サイトには下表のとおり多くのサイトが存在します。
サイト名 | 運営主体と特徴 | 登録会社数 |
---|---|---|
イエウール | 東証スタンダート上場の株式会社Speee | 1,900社 |
HOME4U | NTTデータグループが運営する一括査定サイト | 1,800社 |
イエイ | オンラインリフォームサービス「リノコ」や土地活用比較サイト「土地活用の窓口」も運営するセカイエ株式会社 | 1,700社 |
リビンマッチ | 東証グロース上場のリビン・テクノロジーズ株式会社が運営 | 1,700社 |
いえかつLIFE | 東証プライム上場の株式会社 サムライ・アドウェイズ | 500社 |
不動産エージェント | 「イエイ」を運営するセカイエ株式会社 | 439社 |
すまいValue | 住友不動産販売や東急リバブルなど大手6社 | 6社 |
マンション.navi | 不動産事業者コンサルティングを行うマンションリサーチ株式会社が運営、マンション専門の査定サイト | 2,500店舗 |
ズバット不動産売却 | 保険・引越し・自動車・シニア・教育などの比較サイトも運営する株式会社ウェブクルー | 不明 |
SUUMO売却 | 株式会社リクルートが運営、不動産ポータルSUUMOのグループサイト | 不明 |
*登録者数は2022年4月時点のものです
大手不動産仲介会社をはじめ地方の中小事業者も多数登録していますが、大手仲介6社が運営するサイトや、マンション専門など特徴のあるサイトもあります。
登録会社数の大小では「イエウール」が1,900社と最上位ですが、「SUUMO売却」も約2,000社といわれ同等の規模と考えられます。
また「town life」にみられるように、不動産会社を厳選して運営するサイトも特徴的です。
(3)一括査定サイトの使い方
一括査定はたくさんのサイトがありますが使い方はほぼ共通しており、よくあるパターンをご紹介します。
- 物件の住所を入力
- 物件の種類を選択
- 物件の詳細を入力
- 訪問査定か机上査定かを選択
- 依頼者の住所・メールアドレス・電話番号などを入力
- 査定を依頼する不動産会社を選択
このような手順で長くても数分で申込み手続きは完了します。
訪問査定を選択した場合は、当日または後日に不動産会社から直接連絡があり、訪問日時の打ち合わせをおこない現地確認に立ち会います。
机上査定の場合は訪問がありませんので、不動産会社が資料などで査定をおこなうことになります。
査定が終了すると訪問かメールで査定結果を伝えてくれます。査定結果は「不動産査定報告書」などのタイトルのついた書類や添付ファイルとして受け取ることができます。
イエウールとは
イエウールは登録業者数が最大級の一括査定サイトです。運営は上場企業の株式会社Speee、同社はウェブマーケティング事業を主としており、不動産売却メディアのほか美容・エンタメ・医療事業などへも参入しています。
不動産仲介の業界は古い体質の残る業界でしたが、インターネットにより不動産情報があたりまえのように収集されるようになり、不動産査定の妥当性や売買価格の透明化が求められるようになってきました。
イエウールはこのような需要に応えるために生まれた一括査定サイトです。
(1)イエウールの特徴
イエウールの特徴は登録事業者が多く地方都市の物件にも対応できる「エリアカバー力が大きい」ことです。大手仲介会社はもちろんのこと、地元の小規模な “不動産屋さん” にも査定の申込みを簡単におこなうことができます。
またサイト内には単に査定の申込み手続きをするだけではなく、不動産売却についての基礎知識や、ぜひ知っておきたい「早く高く売るコツ」などが吸収できる豊富なコラムが掲載されています。
(1)イエウールの評判と口コミ
インターネットでは、イエウールに関する「口コミ」「評判」などを知ることができます。
イエウールの評判には大きく分けて3種類のレビューがあります。
- イエウールで査定を申込み高値で売れてよかったという利用者のレビュー
- AI査定のように60秒で回答がでると思ったらまったく違うといったレビュー
- 課金はしっかりされるが反響がよくないという不動産業者のレビュー
つまり利用者は「よいor悪い」などとイエウールへの感想を書いていますが「利用してよかった」というケースでは、むしろ不動産会社の対応がよかった結果と考えられます。
「利用して悪かった」という感想は、一括査定サイトとAI査定サイトの違いがわかりづらく、申込みしたあとのキャンセルができないシステム上の問題といえるでしょう。
いくつか口コミの例を紹介しましょう。
①イエウールに頼んでよかった口コミ事例
実家を相続したので売却しようと思い、一括査定サイトを利用しました。複数の会社から査定が提示されたのですが、思ったより高く驚きました。そのなかで信頼できそうな担当者の会社に依頼し、3か月後に査定額に近い金額で契約できました。
②AI査定と勘違いしていた口コミ事例
申込みフォームで入力し終わると査定価格がでると思っていたら、60秒ではでないことがわかった。キャンセルしたくても方法がわからず、連絡先も掲載されてない不親切なサイトだった。
③不動産業者の口コミ事例
昨年から利用しています。業界最高値の課金なのに送ってくる案件は売却予定のないものばかりです。半年以上が経ちますが、これまで媒介契約に至った案件は0です。不動産業者からすると最悪のサイトです。
(2)イエウールは信頼できる?
一括査定サイトは不動産を売りたい方と、不動産の仲介業務を行う「宅地建物取引業者」とのマッチングツールです。
不動産の売買を仲介する事業は、許可を受けなければできません。そのため不動産会社のなかで仲介業を営む事業者を、「宅地建物取引業者」といいます。
イエウールにはたくさんの不動産会社が登録しており、売却希望の方からの査定依頼に対応しています。「イエウールは信頼できるの?」といった疑問は、実は「イエウール経由で査定を実際におこなう不動産会社は信頼できるの?」という疑問に置き換えることができます。
一括査定サイトは事業者登録の際、「宅地建物取引業免許」の確認をおこないますので、無免許事業者が査定することはありませんのでその点は安心できます。
一括査定サイトと不動産会社の違い
一括査定サイトは、不動産査定をおこなう不動産会社のサイトではありません。不動産査定を希望する人たちが簡単に不動産会社を探しだし、手間をかけずに査定申込みができるサービスをおこなっています。
査定結果の信頼性や査定における行動などすべては、実際に査定をおこなう不動産会社の責任であり、一括査定サイトは不動産査定の利便性を提供しています。
(1)不動産査定の目的
不動産査定には2つの目的があります。1つ目は「売却する時点で決定する売出し価格の参考」にすること、そして2つ目が「媒介業務を委託する仲介会社の決定」です。
不動産を売るにはマーケットに出品し、購入希望者に不動産情報を伝えて検討してもらい、価格をはじめ取引条件を調整して合意に至ると取引が成立します。
一般的な物品販売では「定価」があり、購入者は納得がいくと購入しますが納得がいかないと購入はしません。しかし不動産は「相対取引」といって、売り手と買い手が交渉し条件が整うと取引価格が決定します。
交渉のスタートとなる「売出し価格」は買い手を見つける重要なもので、高すぎると買い手は一人も現れず、低すぎると安売りをしてしまう原因になるのです。
そのため「売出し価格」は、売れるだろうと考えられる上限ぎりぎりで設定しなければなりません。
マーケットに出品するには「資格」がなければなりません。それが「宅地建物取引業免許」です。
不動産査定は免許のある事業者に物件を査定してもらいますが、その過程で「任せられる事業者かどうか」を判断する重要な機会になるのです。
(2)不動産査定の実際
不動産査定は訪問査定と机上査定があると冒頭で述べましたが、正確な査定をおこなうには「訪問査定」が原則です。現地を実際に調査し周辺環境や物件の状況を確認することにより、売れるだろうと考えられる上限ぎりぎりの設定が可能になります。
現地を確認したうえで一戸建て住宅であれば、「土地」と「建物」の現在価格をそれぞれ算定し、トータルの査定価格を算出します。
マンションの場合は主にこれまでの取引事例や、将来の市場性を考慮し査定価格を算出するのです。
最近はAIによる査定をおこなう不動産会社も多くなってきており、価格算定のロジックは複雑なものになっていますが、人の手による査定でもさまざまな要素を加味して査定価格を算出しています。
(3)売却するまでの流れ
一括査定でも不動産会社に直接査定を依頼する場合でも、複数の会社に申込むのは常識といってよいでしょう。そのほうが高い査定から低い査定まで、事業者によって判断の尺度に違いがあることがわかります。
そのなかから媒介を依頼する会社を1社にするか複数の会社にするかが、媒介業者を決定する時点での重要な判断になります。また一般媒介か専任媒介または専属専任媒介かの契約の種類の選択も重要なことです。
媒介契約を不動産会社と締結する時点では、初期の売出し価格は決まっていますので、買い手を見つけるための物件資料をとりまとめ不動産マーケットに出品します。
マーケットは公的なマーケットと位置付けられる「レインズ」と、民間のマーケットになる不動産ポータルサイトや、媒介契約を締結した不動産会社のサイトに掲載され情報が流通していきます。
やがて買い手が現れるとほとんどの場合は「値交渉」という、売買価格の交渉が始まります。この交渉は媒介業務をおこなう不動産会社の担当者が当事者に代わっておこない、売出し価格を上限として取引価格とその他の取引条件を調整します。
売主・買主が合意に至ると契約にすすんでいきます。
(4)不動産会社の役割
不動産売却における不動産会社の役割としては次の事項を遵守しなければなりません。
- 売買取引が成立するよう努力する
- 売主・買主どちらにとっても公正な取引となるよう努める
日本における不動産売買では媒介する不動産会社に対し、アメリカのような「エージェント」としての役割を求める考え方はなく、売主・買主双方に対して公正中立な立場で業務を遂行するよう求めています。
それはいわゆる「両手媒介」となる1社だけの媒介であっても、売主・買主双方に媒介業者がいる「片手媒介」であっても、複数の媒介業者は「共同媒介責任」を果たさなければなりません。
つまり売却を依頼された不動産会社の役割は「買い手をみつける」のが重要な業務ではなく、買い手をみつけたうえで売主・買主双方が納得のいく公正な取引となり、引き渡し後も取引による損害がおきないよう十分な「善管注意義務」を果たすことになります。
「不動産査定」とは、このような重要な役割を担う媒介業者の選定に関して不動産会社の信頼性や業務への誠実性を確認する、大事なプロセスであることを認識しなければなりません。
(5)一括査定サイトの役割
不動産査定は売却のスタート時点において重要なプロセスであることがわかりました。それは売却を検討する人ばかりでなく、不動産会社にとっても顧客をみつける貴重な機会になっています。
仲介を主体とする不動産会社は「不動産を売る人」をいかにみつけるかが、ビジネスのうえで重要なことになっています。「買う人」は物件があれば自然とみつかるものですが、売る人をみつけるためにはたいへんな苦労をしているのが実態です。
さまざまな広告媒体で「売主を募集」し、自社のウェブサイトにも力を入れますが、インターネットによる集客はさまざまなノウハウを駆使しなければ効果は現れません。
一括査定サイトは不動産会社からみた場合「売主をみつける」効果的なツールになっています。
逆に不動産を売りたい方からみると、すでに述べたように効率よく査定の依頼を複数の会社にでき、6社ほどの会社を比較検討することにより「業者をみきわめる目」を育てることができるのです。
しかも不動産会社は「競争意識」をもつため、可能な限りぎりぎりの高値売却に結びつく傾向があります。
不動産売却を成功させる秘訣
不動産の売却が望んでいたとおりの期間内で、しかも考えていた以上の金額でおこなうためには、媒介をになう良い不動産会社とめぐり合うことが大切です。
売却を依頼する「媒介契約」は、基本的に3か月間で締結します。思いどおりにいかない時には6か月、9か月と更新することもあります。あるいは3か月目には不動産会社を変更することもあり得ます。
媒介契約には次の3種類のタイプがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介は複数の会社に媒介を依頼することができます。一方「専任」と「専属専任」は1社だけとの契約になります。
売却が短期間(3か月以内)で可能と思われる場合は、どのタイプで契約してもあまり変わりはありませんが、3か月を超えると思われる場合は「専任または専属専任」が望ましいです。
長期間の売却活動を一般媒介契約で複数の会社に依頼した場合、時間の経過にともない不動産会社のモチベーションが低下する可能性が高くなります。
また一般媒介は宣伝広告などに費用をかけても、自社で成約に結びつけることができず他社が成約すると、かけた費用は無駄になるため必要最低限の費用に抑えようとする傾向が強くなります。
そのため長い期間にわたる売却活動を継続する場合、一般媒介では力の入れ方が異なるのです。したがって長期になる場合は「専任または専属専任」が望ましいのです。
不動産査定は査定の過程で不動産会社の適性を確認し、専任で任せられる会社をみつけるという重要な役割があります。この役割は一括査定であっても同様であり、6社に査定を依頼した場合は、しっかりと各社の能力や相性などをみきわめ、信頼して任せられる1社をみつけられるかどうかが重要です。
もし不動産査定の時点で1社にしぼることができない時は、3か月間だけ「一般媒介」で契約し各社の動きを確認し、3か月が経過した時点で1社にしぼるといった戦略も有効です。
まとめ
一括査定サイトのメリット・デメリットや特徴と、もっとも登録業者の多いイエウールの口コミや評判を紹介しました。
一括査定サイトは不動産を売りたい人と不動産会社をマッチングさせるサービスをおこなっています。不動産会社をみつけるまでが役割であり、不動産会社が決まったあとは、思いどおりに売れるか売れないかは不動産会社の活動次第です。
信頼できる不動産会社をみつけられるよう、上手に一括査定サイトを活用してください。
※記事中の法律や税率などについては、2022年5月時点のものです。