不動産

住宅ローンが払えない(滞納)が続くとどうなる?今すぐできることを解説

住宅ローンが払えない(滞納)が続くとどうなる?

マイホームを購入する際には住宅ローンを組む方がほとんどだと思います。

しかし、新型コロナウイルスの影響で収入が減少して住宅ローンを返済できない人が増えています。

住宅ローンも借金ですので、返済する必要があります。

住宅ローンを返済できないとどうなるのでしょうか? 住宅ローンを払えないときの対処法についても解説します。

住宅ローンが払えなくなる原因とは?

住宅ローンを組むときには金融機関による審査を受けることになります。

契約する段階では十分な返済能力・見込みがあると判断されていることになります。

しかし、住宅ローンの契約後に思わぬ事態が起きて、返済が難しくなることは珍しくありません。

(1)リストラやボーナスカットによる収入の減少

住宅ローンが返済できなくなる理由として最も多いのが収入の減少によるものです。住宅ローンを組むときには現在の収入が維持もしくは増えることを見込んでいます。

しかし、住宅ローンを組んだ後に想定外の出来事が起こって、収入の維持が難しいこともあります。

例えば、最近ではリーマンショックや新型コロナウイルスなど想定外の出来事によって勤務する会社の経営が悪化し、減給やボーナスがカットされる人も珍しくありません。

最悪の場合には会社から解雇されてしまい日々の生活費で手一杯で、住宅ローンの返済に回すお金がないという人もいます。

(2)病気や介護など想定外の出費

不況による収入の減少とは逆に、想定外の出費がかさんでしまうことも住宅ローンが返済できなくなる原因の一つです。

突然の事故や病気によって、高額の手術や入院が必要になった、あるいは障害を負ってしまって仕事を続けることが難しくなったなどが原因となります。

最近ではうつ病など精神的な病気にかかってしまい、仕事を続けることができなくなった人もたくさんいます。

病気や事故に備えて、保険に加入している人も少なくありませんが、保険は手術費や通院費を補完するものであり、住宅ローンの返済に充当できるほど十分な金額は期待できません。

住宅ローンが払えないと起こること

住宅ローンの返済ができなくなるとどうなるのでしょうか?借金を返せないと、住宅がすぐに競売に出される、というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

しかし、返済が滞ってすぐに競売に出されるわけではありません。

(1)金融機関から催促状が送付される

住宅ローンを返済している状態が始まると、まずは借入をしている金融機関から電話や郵便で住宅ローンの返済を「お願い」されます。

さらに滞納が2ヶ月以上続くと、金融機関の支店への来店依頼状や督促状や催告書が送付されます。

注意したいのは、催促状が送付された段階で返済しないと、いわゆるブラックリストに掲載されてしまう点です。

金融事故として登録されるので、今後ローンを組んだり、クレジットカードを発行することが困難になります。

(2)期限の利益の喪失・一括返済を要求される

督促状や催告書に応じないで3ヶ月以上経過すると、期限の利益を喪失した旨を記載した通知書が郵送されます。

期限の利益とは期限があることによって債務者が受ける利益、すなわち支払期日まで支払いを待ってもらえる利益を指します。

期限の利益を喪失すると債務弁済の履行猶予がなくなってしまいます。

したがって、即時の一括返済を求められます。

債務者が返済できないと保証会社が金融機関に住宅ローンを代位弁済します。この代位弁済によって債権者の地位が金融機関から保証会社に移行します。

(3)競売の申立

代位弁済によって債権者となった保証会社は債権を現金で回収するために裁判所に対して、住宅の競売の申立を行います。

これによって住宅の競売の手続きが始まります。

競売の申立によって、裁判所から「競売開始決定通知書」が送付されます。通知書を受け取ると裁判所に任命された執行官と鑑定人が住宅の現地調査を行います。

現地調査は法律に基づくものですので、協力する義務があり、断ることはできません。現地調査が実施されると最低競売価格が決定され、競売が始まります。

(4)競売入札の開始

競売が始まり、住宅購入に興味がある人による入札が行われます。

競売が始まると裁判所から「競売の期間入札通知書」が送付されます。通知書には「競売物件の入札の開始から入札の終了までの期間」と「入札の開始日」が記載されています。

競売の期間中に最も高い金額で入札した人が「最高価買受申出人」として決定し、裁判所から売却決定の通知が送付されます。

ただし、競売期間中であっても実際に売却されて、売却代金が支払われるまでは保証会社はいつでも申立を取り下げることができます。

(5)強制退去

最も高い金額を提示した落札者が決まったら、落札者と退去日について話し合いを行います。退去日になったら家から立ち退かないといけません。

退去に応じない場合には強制執行手続が申し立てられ、執行官が来て、強制的に荷物を運び出されて、追い出されます。

通常はこれで終わりですが、競売で購入された代金で住宅ローンを完済できなければ、残りの費用について返済義務があります。

残債については今後の収入から少しずつ返済する必要があります。

住宅ローンが払えないときはどうする?

住宅ローンが返済できない場合に何もしないと最終的に競売にかけられて、強制退去となります。

しかし、住宅ローンが払えなくても対処法はありますので、安心してください。

大切なことは滞納する前にできることをすることです。

(1)住宅ローンの返済条件変更の交渉

住宅ローンの返済が難しいと感じたら、借入先の金融機関に返済条件の変更について相談してみましょう。

住宅ローンの条件変更は珍しいことではないので、金融機関に相談すれば応じてもらえる可能性があります。

特に景気が悪化しているタイミングだと、柔軟に対応してくれることもあります。条件の変更とは毎月の返済額の減額や返済期限の延長、ボーナス払いの中止などです。

ただし、条件変更を相談する際には収入の減少や病気など金融機関を納得させられる原因が必要になります。

(2)住宅ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えとは、新たな金融機関で住宅ローンを組み直して、現在返済している住宅ローンを一括で返済することです。

金利の高いローンから金利の低いローンに借り換えすることで、金利差の分だけ総支払額が減少し、毎月の返済額が減額される可能性があります。

特に現在は日銀のマイナス金利政策によって金利が下がっていますので、「返済できそうだけど、負担を減らしたい」という方にもおすすめです。

ただし、住宅ローンの借り換えにはコストが発生することに注意が必要です。

(3)住宅を売却する

条件変更や借り換えが難しい場合は、思い切って住宅を売却することも選択肢の一つです。

「売却では競売と同じではないか」と思う方もいるかもしれませんが、金融機関から催促状が送付される前に住宅を売却することで、ブラックリストに掲載されることを阻止できます。

今後もう一度住宅ローンを組むという選択肢を残すことができます。

ただし、住宅の売却代金で住宅ローンの残債を完済できない場合には残債について返済義務が残ります。

(4)任意売却

任意売却とは債務者が住宅ローンを返済できない場合に、競売に至る前に住宅ローンを借りている金融機関の合意を得た上である程度債務者の希望条件で一般市場において住宅ローンを売却することです。

金融機関との合意が必要という点で、通常の売却と異なります。

通常の売却同様に残債については完済する必要がありますが、競売と異なるのは売却価額を自由に決定できる点です。これによって競売よりも高値で売却できる可能性があります。

また、任意売却の場合は金融機関が分割返済に応じてくれる可能性があります。

まとめ

不況による突然の解雇や病気・事故によって住宅ローンが返済できなくなるのは珍しいことではなく、決して恥ずかしことでもありません。

しかし、滞納状態を放置しておくと競売手続が進んでしまい、強制的に退去することになってしまいます。

返済できない場合でも返済条件の変更や任意売却など様々な対処法があります。

大切なことは滞納状態を放置しないことです。

「返済が難しいかも」と感じたら、早めの段階で金融機関に相談をして、売却以外の方法を探ってみましょう。

また、住宅ローンを借りる際に人生のおおまかな収入や支出について考えておいて、住宅ローンが返済できるのか考えておくことも重要です。

購入しようとしている住宅が身の丈に合っているか、もう一度考えてみましょう。

※記事中の法律や税率などについては、2022年3月時点のものです。

月間1万3千人突破!イエウール