「どの評価サイトを使っても、売れる不動産の金額は同じなのではないか」と、思っている方も多いかもしれません。
しかし、実際はそのようなことはありません。
同じ土地や住宅を売却する場合でも、不動産鑑定士や仲介契約を結んでいる不動産会社によって売却価格は異なります。
そのため不動産を売却する際には、複数の不動産一括査定サイトを利用し、売却状況や売却したい物件に合った不動産会社との契約を結ぶことが重要です。
そこで今回は、一括査定サービスのひとつである「リビンマッチ」をご紹介します。
リビンマッチとは?
まず、「リビンマッチ」の運営会社を見てみましょう。
「リビンマッチ」は、2004年に設立されたリビングテクノロジーズ株式会社によって運営されています。
かつてはシースタイルという会社名でしたが、2018年に現在の名前に社名変更しました。
2019年6月28日、東京証券取引所マザーズ(現在は東証グロース)に上場しています。
リビンマッチのサービスは2006年に開始され、現在では不動産一括査定の老舗サイトの1つとして知られています。
リビンマッチでは不動産売却の一括査定だけでなく、賃貸管理やマンション管理などの一括査定も行っています。
本社は東京都中央区ですが、大阪と福岡にも営業所があります。
資本金3100万円、従業員70人の中小規模のベンチャー企業ではありますが、「プライバシー認証」を取得していますので、安心して利用できるのではないでしょうか。
(1)売却率の高さや日リピート希望率の高さが特徴
リビンマッチは大規模な一括査定サイトですが、利用者実績データの開示などにより高い透明性を証明しているのが特徴です。
この平均データによると、リビンマッチを利用した人は評価額の約115%で不動産を売っており、80%以上が「また不動産を売る機会があれば、リビンマッチを使いたい」と答えています。
他のサイトと同様の情報コンテンツを持っているので、「とりあえずリビンマッチを使えば間違いない」と言えます。
リビンマッチのシンプルで便利なサービスの1つは、上部の「地域別の対応企業一覧」をクリックすると、地域別対応企業を確認できることです。
通常、評価申請書に情報を入力しないと、対応する会社が確認できないため、時間と労力を削減できます。
(2)リビンマッチ基本情報
サイト名 | リビンマッチ |
---|---|
URL | https://www.lvnmatch.jp/ |
運営会社 | リビン・テクノロジーズ株式会社 |
設立 | 2006年 |
対応している物件種別 |
マンション一戸建て 土地 一棟アパート・一棟マンション 投資マンション(1R・1K) 1棟ビル 区分所有ビル(1室) 店舗・倉庫・工場 農地 その他 |
提携不動産会社 | 約1,700社(2021年8月現在) |
査定依頼可能な数 | 最大6社 |
査定依頼時間 | 最短45秒 |
査定料 | 無料 |
リビンマッチのメリット
リビンマッチを使用するメリットは、下記の5つになります。
順番に解説します。
- 売却方法の選択肢が多い
- 提携不動産会社の豊富さ
- 不動産の種類の多さ
- 便利なアプリ
- 地方をカバーしている
(1)売却方法の選択肢が多い
リビンマッチを使用する大きな利点は、売却方法の種類が多いため、状況や目的に応じて適切な方法を選択できることです。
「不動産を売る」と聞くと、不動産会社に買い手を探すように頼むことを想像できますが、実際には他にもたくさんの方法があります。
リビンマッチが提供する売却方法を確認してみましょう。
売却方法 | 特徴 |
---|---|
売却 | 不動産会社と仲介契約を結び、買い手を探す一般的な販売方法。 市場価格に近い価格で売れるかもしれませんが、買い手を見つけるのに時間がかかります。 |
買取 | 不動産会社に直接購入させる方法。 買い手を探す必要がないので早く売ることができますが、仲介業者を介して売るよりも安くなります。 |
任意売却 | 延滞時に債権者金融機関の許可により不動産を売却する方法。 低価格でしか販売できない競売よりも、市場価格に近い価格で販売できる可能性があります。 |
リースバック | 不動産会社に購入してもらい、賃貸契約を結び、そのまま住み続ける方法。 誰にも知られずにあなたの家を手放すことができます。 |
このように、販売方法によってそれぞれの特徴が異なります。
リビンマッチのメリットは、購入者を慎重に探しできるだけ高く販売したい場合は売却、急ぎ売却したい場合は買取など、状況に応じた販売方法を選択できることです。
(2)提携不動産会社の豊富さ
リビンマッチは、大企業から中小企業まで、さまざまな不動産会社と提携していることも特徴です。
例えば、大手企業の中には、2020年の取引量ランキングに入る以下の不動産会社が含まれています。
2020年(令和2年)の不動産取扱高ランキング
順位 | 不動産会社 |
---|---|
13位 | 住友林業ホームサービス |
14位 | 大成有楽不動産販売 |
15位 | 大和ハウス |
16位 | 近鉄不動産 |
【出典】公益財団法人 不動産流通推進センター「2020 不動産業統計集(9月改定)」(17〜18頁より抜粋)
しかし、不動産会社は必ずしも大企業ばかりがベストとは限りません。
地元に拠点を置く中小規模の不動産会社のほうが、地元の不動産の状況に精通しており、地元の顧客を支援に熱心である場合もあります。
大手と地方の中小不動産会社の両方で見積、担当者から話を聞いたうえで比較することをおすすめします。
(3)不動産の種類の多さ
リビンマッチの特徴は、戸建住宅やマンションなどの住宅だけでなく、マンション、アパートを丸ごと一棟や、投資用マンションなどにも対応していることです。
不動産に投資している物件の売却を検討する場合でも、複数の不動産会社に一度に査定・比較してもらうことができるので便利です。
リビンマッチは農地にも対応しているので、農業をやめたい人にも利用できます。
「遠くからでもいい不動産会社を見つけた」というレビューが多く見られたので、田舎で両親の農地を処分するのに苦慮されている方におすすめです。
(4)便利なアプリ
リビンマッチのもう1つの特徴は、近くの市場価格を確認できる「らくらく不動産査定」というアプリを提供していることです。
このサイトと同様に、このアプリは、戸建住宅、マンション、アパートなどの一般住宅から、マンション丸ごと一棟といった投資物件、土地まで査定できます。
さらに、このアプリのもう一つのポイントは、各物件タイプの近隣市場価格をチェックする機能を備えていることです。
物件の場所、物件の種類、間取りなどの条件を入力することで、近隣物件の市場価格を確認することができます。
査定価格が適切かどうかを判断しやすいので、大まかな市場価格を把握した上で一括査定を依頼できるのです。
(5)地方をカバーしている
リビンマッチの口コミを見ると、「査定根拠が明確」「田舎の物件も対応してくれた」という点を高く評価している方も多いようです。
リビンマッチは、業界で最高の1つである1,700を超える不動産会社と提携しています。大手企業だけでなく、地方の中小不動産会社も多く提携しているので、田舎での不動産販売にぴったりです。
また、リビンマッチは、第三者による信用調査に合格した不動産会社とのみ提携しています。このようなメカニズムは、評価結果に対する高い満足度につながっていると考えられます。
リビンマッチのデメリット
多種多様な売却方法や市場価格を把握した上で査定を依頼できるなど、多くのメリットを備えたリビンマッチですが、以下のようなデメリットもあります。
- エリアによって利用できる不動産会社に限りがある
- すぐに査定額は出ない
- 問い合わせフォームなし
- 査定方法が選べない
これらについて解説していきます。
(1)エリアによって利用できる不動産会社に限りがある
リビンマッチは1700以上の不動産会社と提携していますが、不動産の種類や地域によっては、それをサポートしている不動産会社が少ない場合があります。
常に6社から評価を得られるわけではないということに注意が必要です。
不動産鑑定サイトはたくさんあり、不動産会社は一緒に仕事をするサイトを絞り込むことがあります。
そのため、リビンマッチをサポートしている不動産会社が少ない場合は、別の集合評価サイトを一緒に使用することをお勧めします。
特に、三井不動産(三井不動産)、住友不動産販売、東急リバブル、野村の証券会社など、業界最大の企業とは提携していないため、リビンマッチから見積りをとることはできません。
これらの大手不動産会社の相場を知りたい場合は、大手6社が運営する総合評価サイト「すまいValue」など、大手と提携している一括査定サービスの利用を検討してみてください。
(2)すぐに査定額は出ない
リビンマッチでは、最低査定依頼時間は45秒ですが、査定結果が出る時間ではなく、あくまで「依頼」のみの時間です。
不動産会社に評価依頼が届き、不動産会社の担当者がその情報に基づいて評価額を算出した後で、査定結果の連絡がくるという流れになります。
そのため、その場で査定額が出てくると思って使ってみると少しがっかりするかもしれません。
ただ利用者の声では、「連絡が速かった」「すぐに連絡が来た」などのレビューが多かったので、提携不動産会社の反応は良さそうです。
(3)問い合わせコーナーがない
リビンマッチの公式サイトには、お問い合わせコーナーはありません。
なにか気になる点や不明点があったとしても、お問い合わせフォームから連絡することはできないのです。
その代わり専門のスタッフが丁寧に対応してくれますので、ちょっとしたことでも気になることがある方はお気軽にスタッフにお問い合わせしてみてください。
また、公式ホームページには「初めての方」や「よくある質問」のページがありますので、こちらを参考にするのも良いでしょう。
(4)査定方法が選べない
一般的に、不動産会社の査定方法には、簡易査定と訪問査定の2種類があります。
簡易査定:不動産の場所や年齢などのデータを用いて、周囲の過去の事例に基づいて評価
訪問査定:実際に不動産サイトを視察し、簡易査定情報に加味して高精度の査定を実施
多くの一括評価サイトでは、好みの評価方法を選択できます。ただし、リビンマッチでは、評価方法を選択することはできません。
評価方法により見積価格が異なる場合がありますので、査定方法が選べないのは厳しい部分があります。
また、査定依頼の段階では、どの査定方法を見積りしたか判断できないというデメリットもあると言えます。
リビンマッチにマッチする人は?
リビンマッチは、次のような人にはおすすめです。
- 大手不動産会社と地元の中小不動産会社の両方を比較したい方
- 目的に合った販売方法を選びたい方
- 投資不動産の売却を検討されている方
- できるだけ素早く対応してくれる不動産会社から査定価格を取得したい方
- 問題が発生したときにサポートできる一括サイトを希望する方
- 相場を知ったうえで、査定を希望する方
販売方法や不動産会社の種類が豊富なため、基本的には不動産の販売を考えている方全員に適しています。
まずリビンマッチを試してみて、情報が不足していると感じた場合は、他の一括評価サイトと一緒に使用することをおすすめします。
リビンマッチの口コミ
「実際にリビンマッチを利用した人は、どのように感じたのか?」、ということを知りたい方もいらっしゃるのでしょうか。
インターネット上の口コミや評判について紹介します。
(1)リビンマッチの良い口コミ
まずは、ネット上の良い評価から紹介します。
- 他より高い価格で査定されたことに驚いた
- 別のサイトで相手にされない地方エリアにも対応してくれた
- 農地の見積もりも即時対応してくれ満足
- 質問や問い合わせへの対応は迅速
- 最大8社の評価を依頼することができた
- 知識がなくともリビンマッチのおかげで高額販売ができた
「購入査定までしてくれスムーズに販売を進められた」、という嬉しい声がたくさん寄せられていました。また、「田舎でも対応してくれた」「想定より高い査定額がついた」などの喜びのコメントもありました。
(2)リビンマッチの悪い口コミ
リビンマッチの残念な口コミや評判は、主に以下の3つです。
- もっと多くの不動産会社に評価してもらいたい
- インターネット査定をしてくれなかった
- 営業メールや電話がたくさん届き、しつこく感じた
珍しい物件や田舎の土地を査定する不動産会社は少ないかもしれませんが、リビンマッチでしか査定できない物件もたくさんあります。
また、一括査定サイトを初めて利用する方の中には、査定額はインターネットで入手できると考えている方もいるようです。
実際には、リビンマッチを含むほとんどの一括査定サイトでは、机上評価または訪問評価によって評価額を計算します。
その場で評価額を算出するAI評価ではありませんので、注意してください。
「現在の住宅がどのくらいで売れるかを知りたいだけで、真剣に考えずに見積もり依頼した」という人にとっては、熱烈な営業電話をしつこいと感じる方もいらっしゃることでしょう。
リビンマッチ利用に関する注意点
リビンマッチを利用する際に注意すべきポイントと対処法について紹介します。
<注意すべきポイント>
- 売却時には費用や税金がかかる
- 豊富な情報量に振り回されないこと
- 自分が希望している不動産会社に査定してもらえるわけではない
(1)売却時には費用や税金がかかる
土地や建物などの不動産を売却するには、さまざまな費用がかかります。また、売却価格から売却費用を差し引いた利益に対して、譲渡所得税が課せられます。
土地や建物を売却する主な費用は次のとおりです。
- 不動産販売の主な費用
- 契約会社/請負業者に支払われる仲介手数料
- 抵当権抹消費用
- 契約書に添付する印紙代
- 土地土壌汚染調査・調査費用
- 建物のハウスクリーニング費
販売時にかかる経費・手数料を見積もらないと、受け取った後の資金計画に狂いが生じる可能性があります。
また、納税時期は売却翌年の確定申告時期であるため、実際に不動産を売却する時期からしばらく時間がかかります。
評価を依頼した会社と密にコミュニケーションを取りながら、費用と税金を見積もることをおすすめします。
(2)豊富な情報量に振り回されないこと
リビンマッチは、不動産売買以外の情報も扱う総合サイトです。コラムなども含めると膨大な量の情報があり、必要な情報だけを収集するのは面倒な場合があります。
しかし、いろいろな選択肢を考えたい方や不動産取引全般を勉強したい方にとっては、有益な情報がたくさん記載されています。
(3)自分が希望している不動産会社に査定してもらえるわけではない
リビンマッチで査定する場合、必ずしも目的の会社が土地や建物の価値を査定してくれるわけではありません。
サイトに物件やユーザー情報を入力すると、その段階で見積もる不動産会社一覧が表示されてくるだけです。
逆に、リストされていない会社はあなたの依頼に応じてくれません。
まとめ
リビンマッチは、さまざまな不動産会社に査定を依頼する、情報を収集するサイトです。
一般の仲介販売だけでなく、購入、自主販売、リースバックなどもサポートされていますので、目的に合った販売方法を選択できるのもメリットです。
不動産の売却をお考えの方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
※記事中の法律や税率などについては、2022年5月時点のものです。